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酸素が欠乏したキラー細胞ががん性腫瘍を破壊する可能性が発見される

*本記事はNoCamels-Israeli Innovation Newsによって作成されたものを日本語に翻訳しています。

登山家や持久力のいるアスリートが高地トレーニングを通して、酸素濃度が低い状況でのパフォーマンスが向上するように、免疫系のキラー細胞が低酸素の状況を通して機能を向上させることが分かった。

イスラエルのWeizmann Institute of Science の研究者は、科学ジャーナル Cell Reports に掲載された研究で、キラーT細胞(細胞性免疫において中心的な役割を果たすリンパ球)は酸素欠乏状態になった後の方がより効果的にがん性腫瘍を攻撃するということを示した。

Image Credit:https://www.nih.gov

数年前から、このがん免疫療法として知られている悪性腫瘍を攻撃する免疫系を利用した手段は、すでにがん患者を救ってきている。この手段の主要なものとしては、患者の血液からキラーT細胞を取り出し、ラボで増殖させ、がん細胞の同定や破壊に適応させるのである。そして患者の血液にキラーT細胞を戻す。(この方法は、白血病やリンパ腫の患者に有効であった)

しかしこれまでの研究で、低酸素下で増殖させたキラーT細胞が、がん性腫瘍を攻撃する能力を持つかどうかはまだ分からなかった。

しかしWeizmannthe Grand Israel National Center for Personalized Medicineの研究チームが行なったマウスでの最近の研究で、酸素欠乏状態で増殖させたキラーT細胞の方がより効果的にがん性腫瘍を攻撃していることが分かった。(がん細胞に浸透して殺すグランザイムBという酵素の含有量が多くなったからである。)

これらの所見がヒトのT細胞でも確認されれば、固形腫瘍に対する免疫療法を改善するための即時手段を提供する可能性があるだろう。

*NoCamels-Israeli Innovation Newsの原文を読む